企業文明の外
・・・みじめな男にゃひどい時代・・・。
お金の顔が見られないとき・・・。
今じゃ、あんたやおれにもひどい時代・・・。
生まれてこのかたそうだった・・・。
いつの時代にも、社会階層の1番下積みで貧困にあえいでいた黒人からみれば、「大恐慌はそれまで長いこと行き渡っていた不当な経済的状況が、単に強化されただけのことであった」(カリフォルニア大学バークレー校教授ローレンス・W・ルビーン)。
こうした黒人が口ずさむ歌のなかにも、大恐慌になって急に増えた貧乏人の仲間のことが出てくるのです。
しかし、ルビーンが指摘するように、「アメリカ人は、国民全体としては、1890年代以来、長期間にわたる大きな経済危機というものを体験したことがなかった」のです。
彼らが「浮かれ騒ぎの20年代」から目が覚めてみると、おどろいたことには新入りの貧民として、無料給食の長い行列にならんでいる自分を発見したのです。
この失業者という新入りに対して、古参の貧民は大恐慌以前から存在していました。
彼らは企業文明社会からは事実上完全に疎外されていました。
ブラウン大学の歴史学者ジェームズ・T・パターソンは、この古参の貧民を就業不能者(老人、病人、身体障害者、母子家庭の子供)、差別化される少数グループ、不安定もしくは低賃金の労働者、不況地域や不況産業に配転された被雇用者、の4タイプに分類しています。